日本臨床外科学会雑誌
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症例
狭窄型虚血性小腸炎をきたしたStanford A型急性大動脈解離の1例
平田 真章白潟 義晴
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2016 年 77 巻 10 号 p. 2424-2428

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抄録

症例は54歳,男性.突然の背部痛を主訴に救急搬送された.胸腹部造影CT検査で,上腸間膜動脈(superior mesenteric artery, 以下SMA)解離を伴うStanford A型急性大動脈解離と診断した.緊急上行大動脈置換術に加え,SMA本幹にステントを留置した.術後経過は良好であったが,経口摂取開始後11日目に小腸イレウスを発症した.保存的治療では困難と考え,発症後44日目に開腹手術を施行した.回腸末端から170cm口側小腸に完全閉塞を認め小腸切除を行った.組織学的所見を含め,狭窄型虚血性小腸炎と診断した.SMAに解離が及ぶ場合,急性期には腸管壊死を念頭に置かねばならないが,慢性期に腹部症状が出現した場合は本症を念頭に置く必要がある.

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© 2016 日本臨床外科学会
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