日本臨床外科学会雑誌
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症例
胸腺神経内分泌腫瘍を伴った多発性内分泌腫瘍症1型の1例
佐藤 伸也横井 忠郎高橋 広山下 弘幸
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2016 年 77 巻 12 号 p. 2898-2904

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抄録

症例は31歳の男性.高カルシウム血症の精査目的で当院紹介.超音波検査で副甲状腺3腺の腫大を認めた.造影CTで前縦隔に最大径12cmの腫瘍を認めた.原発性副甲状腺機能亢進症と胸腺神経内分泌腫瘍を併発した多発性内分泌腫瘍症1型(multiple endocrine neoplasia type 1:MEN1)が疑われ,まず他院にて胸骨正中切開で拡大胸腺摘出,右肺下葉部分切除術が施行された.病理でatypical carcinoidの診断であったため60Gyの術後外照射がなされた.術前に施行された遺伝子検査でMEN1遺伝子の変異も判明した.その後,当院で副甲状腺全摘および一部副甲状腺組織の前腕移植を施行した.病理は副甲状腺過形成であった.術後6カ月の時点で血清カルシウム値はアルファカルシドール1μg/日内服下で正常範囲内にあり,胸腺神経内分泌腫瘍の再発やMEN1関連腫瘍の新たな出現は認めていない.

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