日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
De Garengeot herniaの1例
室谷 知孝杉本 聡宮 嵜安晃山邉 和生長岡 眞希夫
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 77 巻 12 号 p. 3034-3040

詳細
抄録
症例は77歳,女性.右大腿部の腫脹と疼痛が増悪してきたため近医を受診し,大腿ヘルニア嵌頓と診断され手術目的に当院を紹介受診した.腹部超音波および造影CTにて右大腿ヘルニア嵌頓で,嵌頓内容は虫垂であると診断し手術の方針とした.鼠径法にて手術を施行し,ヘルニア嚢を切開し,内容物が虫垂であることを確認した.ヘルニア創から虫垂切除術を施行後,ヘルニア門はUHS®にて補強した.術後経過は問題なく,現在までのところ合併症やヘルニア再発などは認めていない.大腿ヘルニアは主に閉経後の中年女性に多い疾患である.また,嵌頓を起こしやすいことが特徴であり,約30~50%の例で合併する.なかでも虫垂嵌頓を伴う大腿ヘルニアはde Garengeot herniaと呼ばれ,本邦での報告例は少ない.今回われわれはde Garengeot herniaの1例を経験したので,文献的考察を交えて報告する.
著者関連情報
© 2016 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top