日本臨床外科学会雑誌
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症例
7年7カ月無再発生存中の肝・肺転移AFP産生胃癌の1例
佐藤 正法大森 一吉佐々木 彩実野村 克南田 猛
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2016 年 77 巻 2 号 p. 346-350

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抄録
AFP産生胃癌はリンパ節転移・肝転移の頻度が高く,予後不良である.われわれは,同時多発肝転移を有し,胃切除後に化学療法にて肝転移が消失,その後出現した肺転移を切除して長期生存を得た稀な1例を経験した.症例は55歳の男性.貧血あり,上部消化管内視鏡で胃体部後壁の2型腫瘍を指摘,生検で低分化腺癌であった.血清AFP値が4,000ng/mlと著増,CTとMRIにて多発肝転移とリンパ節転移を認めた.幽門側胃切除,D2郭清を施行.腫瘍細胞は一部AFP陽性であった.術後,5-FU/Epirubicinによる肝動注化学療法とS-1の併用を開始.AFP値は6カ月でほぼ正常化,肝転移も同定不能となった.Tegafur/Uracilの経口に切り替えたが,術後1年目にAFPの再上昇と左肺上葉の肺転移を認め,胸腔鏡補助下左肺部分切除術を施行.初回手術後7年7カ月現在,無再発生存中である.文献的考察を加え報告する.
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© 2016 日本臨床外科学会
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