日本臨床外科学会雑誌
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症例
破裂により急性腹症を呈した小腸間膜デスモイドの1例
北川 浩樹吉満 政義伊富貴 雄太恵美 学小橋 俊彦金子 真弓
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2016 年 77 巻 2 号 p. 368-372

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抄録
症例は54歳,女性.発熱と腹痛を主訴に当院救急外来を受診し,腹膜刺激症状と腹部造影CTにて8cm大の腹腔内腫瘍と周囲にfree air,腹水貯留を認めた.小腸もしくは小腸間膜由来の間質系腫瘍による腸管穿孔が疑われ,緊急開腹手術を施行した.開腹すると小腸間膜に8cm大の平滑な腫瘍を認め,一部横行結腸に浸潤していた.腫瘍が回結腸静脈根部に浸潤していたため楔状切除し,小腸と横行結腸を合併切除し腸間膜腫瘍を摘出した.術後病理検査でデスモイド型線維腺腫と診断し,腫瘍は横行結腸に浸潤していたが明らかな穿孔所見はなく,腫瘍内に膿瘍を認め同部位が穿孔していた.小腸間膜デスモイドの破裂により急性腹症を呈した1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
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© 2016 日本臨床外科学会
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