日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
76歳に発症した小腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例
十倉 三千代安野 正道花岡 まりえ山内 慎一菊池 章史松山 貴俊
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 77 巻 2 号 p. 363-367

詳細
抄録
症例は76歳,男性.外傷歴なし,開腹歴なし.腹痛を主訴に近医を受診し,腸閉塞と診断され入院した.翌日,症状が悪化し当院転院搬送された.来院時,腹部全体が板状硬であった.腹部造影CTでは造影効果不良な小腸ループと腸間膜血管の集簇像と腹水を認めた.絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した.開腹すると血性腹水と壊死腸管を認めた.回盲弁から30cm離れた回腸腸間膜に異常裂孔が存在し,回腸が嵌入,捻転し壊死していたため,回腸100cmを切除した.術後,誤嚥性肺炎を発症し抗生剤治療とミニトラック挿入を要したが,術後24日目に軽快退院した.小腸間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの一つで主に小児に好発し,高齢者では稀な疾患である.今回われわれは,高齢者に発症した小腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.
著者関連情報
© 2016 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top