日本臨床外科学会雑誌
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症例
外傷性弁尖裂傷による僧帽弁閉鎖不全の1例
浦中 康子南 智行勝俣 康史小池 繁臣益田 宗孝
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2016 年 77 巻 3 号 p. 535-538

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抄録

今回われわれは,極めて稀な僧帽弁弁尖の外傷性裂傷による僧帽弁閉鎖不全の1手術例を報告する.症例は42歳の男性.3年前に3階から転落,顔面骨折・骨盤骨折・脳挫傷・肺挫傷および外傷性大動脈解離を発症し,当院に入院した.受傷直後の僧帽弁の逆流は軽度であり,循環動態の異常は認められなかった.入院加療を行い,受傷後18日目に全身状態は改善し退院した.経過観察中,受傷2年後に労作時の息切れが発現し,経胸壁心臓超音波検査にて僧帽弁閉鎖不全の増悪を認めた.受傷3年後,僧帽弁形成術を施行した.術中所見では僧帽弁の前交連側前尖(A1)に裂傷を認め,これによる重症僧帽弁閉鎖不全と考えられた.裂傷部の弁尖縫合により逆流は消失し,術後労作時の息切れも消失した.

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© 2016 日本臨床外科学会
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