日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡補助下結腸左半切除術後6カ月目に発症した壊死型虚血性大腸炎の1例
芦澤 陽介三浦 世樹竹内 男金子 高明神谷 潤一郎尾形 章
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2016 年 77 巻 4 号 p. 877-882

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抄録

症例は60歳台の男性で,既往歴として高血圧・糖尿病・大動脈弓部解離があり,下行結腸の進行癌に対して2013年に腹腔鏡補助下結腸左半切除術を施行した.術後補助化学療法施行中,初回手術から6カ月目に下痢・腹痛が出現し,救急外来を受診した.造影CT検査・下部消化管内視鏡では虚血性腸炎が疑われ,保存的治療を継続した.保存的治療開始1カ月半後に施行した下部消化管内視鏡生検病理の結果,抗サイトメガロウイルス抗体陽性であり,ガンシクロビル投与を開始したが改善を認めず,治療開始2カ月後に穿孔性腹膜炎を発症したためHartmann手術を施行した.病理組織学的所見は壊死型虚血性大腸炎と診断された.本症例は動脈硬化による血管因子に加え,腹腔鏡下結腸癌手術による血流量低下因子,術後補助化学療法による免疫能低下に伴うサイトメガロウイルス感染が影響し難治性となったと考えられた.

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