日本臨床外科学会雑誌
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症例
Indocyanine green蛍光法が胆管損傷の予防に有用であった肝嚢胞の1例
井上 亨悦森川 孝則赤田 昌紀上野 達也海野 倫明内藤 広郎
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1202-1206

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抄録

腹腔鏡下肝嚢胞開窓術では嚢胞壁の胆管損傷による胆汁漏に注意が必要である.今回,indocyanine green(以下,ICG)蛍光法により術中胆道造影を行うことで,嚢胞壁の胆管の走行を確認し,安全に開窓術を施行しえた1症例を提示する.症例は80歳台,女性.今回,右側腹部膨満感を主訴に受診し,CTで肝右葉に巨大な肝嚢胞を認め,症状軽減のため肝嚢胞開窓術を予定した.腹腔鏡下に手術を開始し,ICG蛍光法を用いて嚢胞により圧排された胆管の損傷に留意しつつ腹腔鏡下肝嚢胞開窓術を施行した.ICG蛍光法は簡便であり,腹腔鏡下肝嚢胞開窓術において胆道損傷を予防する有用な手段と考えられた.

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