日本臨床外科学会雑誌
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症例
腺癌を合併した難治性感染を伴う多発性肝嚢胞の1例
小林 展大神山 俊哉折茂 達也岡田 宏美横尾 英樹武冨 紹信
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1207-1211

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抄録
症例は62歳,男性.前医で増大傾向を示す多発性肝嚢胞に対し,嚢胞穿刺ドレナージ・エタノール注入を複数回施行されていた.その後,治療後の嚢胞が感染し,内科的治療に抵抗性となり,当科紹介となった.肝右葉の感染性肝嚢胞にはドレナージチューブが留置状態で,少量の血性排液が持続し,皮膚障害を合併していた.感染性肝嚢胞の診断で肝右葉切除術を施行し,ドレナージチューブを抜去することができた.術後経過は良好で退院した.感染性肝嚢胞の嚢胞壁は白色に肥厚しており,嚢胞内には充実性成分を認め,病理組織検査では嚢胞内と瘻孔に沿って腺癌の所見を認めた.多発性肝嚢胞に悪性腫瘍を合併したという報告は非常に少ないが,感染性嚢胞で長期的に軽快が得られない場合は,悪性腫瘍合併の可能性も念頭に置く必要がある.
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© 2016 日本臨床外科学会
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