日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腿ヘルニア嚢に孤立性腹膜播種をきたした横行結腸癌の1例
鈴木 紳祐渡辺 一輝市川 靖史石部 敦士大田 貢由遠藤 格
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2016 年 77 巻 6 号 p. 1493-1499

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抄録

症例は48歳の男性で,検診で貧血を指摘され,鼠径部痛も自覚していた.精査目的の下部消化管内視鏡検査で横行結腸癌を指摘され,当科へ紹介受診となった.CT検査で右大腿ヘルニア嚢内に腫瘤を認め,PET検査で同部位に集積を認めた.以上より,横行結腸癌,右大腿ヘルニア嚢内転移と診断し,拡大右半結腸切除術,大腿ヘルニア根治術を施行した.ヘルニア嚢以外には,明らかな腹膜播種巣を認めなかった.病理診断は中分化管状腺癌,T4a,N2,ly3,v2,でヘルニア嚢には横行結腸癌と同様の腺癌を認め,腹膜播種と診断した.術後8カ月で腹膜播種再発を認め,同14カ月後に播種巣切除・脾摘・胆摘・直腸切除・腹腔内温熱化学療法を施行した.現在,初回手術後27カ月無再発生存中である.大腸癌の鼠径部ヘルニア嚢転移は稀な疾患で,横行結腸癌の大腿ヘルニア嚢内への転移は海外を含め第1例目であった.文献的考察を加え,これを報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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