日本臨床外科学会雑誌
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症例
PINPOINT®システムを使用して行った腹腔鏡下胆嚢摘出術の1例
坪井 一人谷田部 沙織原田 篤良元 和久梶本 徹也柏木 秀幸
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2016 年 77 巻 6 号 p. 1525-1528

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抄録

症例は39歳,男性.BMI 37.2と肥満を認め,糖尿病性腎症からの慢性腎不全にて内科へ通院中であった.総胆管結石に対し内視鏡的乳頭切開術の治療歴がある.総胆管結石による胆管炎を繰り返すため腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応と判断した.手術は通常通りに行い,執刀前にインドシアニングリーン(ICG)を静注し,PINPOINT®を用いて術野を観察した.通常観察では観察不可能であった胆嚢管が本システムにより確認され,誤認なく安全に胆嚢管の処理が可能であった.手術時間は110分,術中出血量は少量であった.術後経過は良好であり,第2病日に軽快退院となった.今回,薬事承認後初のPINPOINT®を用いたICGイメージング手術を経験した.脂肪層が厚く十分とは言えないものの,本症例のような高度肥満患者においても操作をしながらリアルタイムに胆嚢管の検索可能な本システムは有用なツールの一つになり得ると考えられた.

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© 2016 日本臨床外科学会
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