日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
限局性器質化肺炎の1例
柳沼 裕嗣西江 尚貴水谷 尚雄
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 77 巻 7 号 p. 1622-1625

詳細
抄録

症例は69歳,男性.咳嗽を主訴に近医を受診した.胸部X線写真および胸部CTにて左S8に最大径2.1cmの孤発性結節を指摘され,当科に紹介受診した.FDG-PETにて集積を認め,CYFRAが上昇していたことから原発性肺癌が疑われた.診断確定目的に肺部分切除を施行した.術中迅速診では,リンパ球の浸潤を認めたが悪性疾患の確定診断は得られなかった.悪性診断の可能性も否定できないため左S8区域切除を追加した.術後の永久標本では肺胞隔壁へのリンパ球の浸潤と末梢気道のポリープ状の線維組織を認め,限局性器質化肺炎と診断された.術後の追加治療は行ってはいないが,術後8カ月の時点では再発は認めていない.

著者関連情報
© 2016 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top