日本臨床外科学会雑誌
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症例
人工血管置換術を行った便秘・排尿障害を呈した両側内腸骨動脈瘤の1例
岡村 賢一末松 義弘河田 光弘
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2016 年 77 巻 7 号 p. 1618-1621

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抄録

症例は80歳,男性.心筋梗塞の既往あり.心不全にて当院内科に入院中に便秘・排尿障害が出現し,造影CTで腹部大動脈瘤(Φ69mm)・右内腸骨動脈瘤(Φ46.5mm)・左内腸骨動脈瘤(Φ42.8mm)を認めた.便秘と排尿障害は,瘤による腸管や尿管の機械的な圧排が原因と考えられた.両側内腸骨動脈コイル塞栓先行のステントグラフト内挿術も考慮したが,症状の改善が乏しいと判断し人工血管置換術+両側内腸骨動脈瘤切除術+下腸間膜動脈再建術を施行した.術当日に抜管し,術後3日目の尿道留置カテーテル抜去したところ,同日中に自力排尿を認めた.術後7日目の食事開始後には排便も認め,術後15日目に軽快退院となった.大動脈瘤に対する治療法はステントグラフト全盛の時代であるが,患者の主訴・病態に合わせた適切な治療方針の決定が重要と考えられた.

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