日本臨床外科学会雑誌
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症例
画像上完全消退後に再出現した肺浸潤性粘液腺癌の1例
永田 秀樹原田 洋明山下 芳典
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キーワード: 自然退縮, 肺癌, 抗核抗体
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2016 年 77 巻 7 号 p. 1626-1630

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抄録

症例は68歳,女性.胸部単純X線写真にて右肺下葉に異常陰影を指摘され紹介受診.CTにて右S9に最大径40mm大の腫瘤影を認めたが,経過観察中にこの異常陰影は縮小し,その後に完全な消失が確認された.3年後に検診の胸部単純X線写真にて再度右肺下葉の異常陰影を指摘され,胸部CTにて3年前の異常陰影と同一部位に腫瘤性陰影が認められ,CTおよびPET上の所見は3年前の陰影と同様であった.気管支鏡下の細胞診にて悪性所見を認め,下葉切除術を施行.病理組織学的検査にて浸潤性粘液腺癌と診断された.術後経過は良好であり,術後1年10カ月経過した現在に至るまで再発は認められていない.画像上完全消退後に再出現した極めて稀な肺癌であることも否定できない1例と考えられ,抗核抗体による自己免疫が関与した可能性も含め若干の文献的考察を加え報告する.

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