抄録
食道破裂は左側に優位に多く発症することが報告されており,右側発生の機序や治療方針について検討された報告は少ない.症例は66歳の男性.慢性的な逆流性食道炎によって生じた食道狭窄の既往があった.背部痛を主訴に前医へ救急搬送され,CTで食道破裂疑いの診断で当院へ搬送された.食道造影検査で右側胸腔穿破型食道破裂と診断し,同日緊急手術を施行した.手術では右胸腔内に多量の汚染胸水および食物残渣を認め,胸部下部食道右側壁に約5cmの破裂孔が同定された.再破裂および縫合不全の危険性を考慮し,食道亜全摘,胸骨後経路胃管再建を施行した.術後は合併症の発症を認めることなく良好に経過した.病理組織学的検査で食道右側壁に慢性炎症による脆弱性が認められ,右側食道破裂の原因と考えられた.本病態に対して,全身状態が安定し耐術能を有する場合は,一期的な食道切除および再建は治療の選択肢となりうると考えられた.