2016 年 77 巻 8 号 p. 1942-1946
本邦では横隔膜部分切除術後の横隔膜ヘルニアは数例報告されている.今回われわれは,自動縫合器による左横隔膜部分切除術後に発症した横隔膜ヘルニア嵌頓に対して,腹腔鏡下に修復しえた1例を経験したので報告する.症例は57歳の女性.胸郭内子宮内膜症に対して左横隔膜部分切除術を施行した.術後約3カ月目に胸痛および左上腹部痛が出現し,胸部単純X線・胸腹部CTで横隔膜ヘルニアへの胃穹窿部嵌頓の診断となった.同日,緊急手術で腹腔鏡下横隔膜ヘルニア根治術を施行した.術後,大きな問題なく術後6日目に退院となった.腹腔鏡下では良好な視野のもと嵌頓臓器の評価およびヘルニア門の閉鎖が可能であると考えられた.