2016 年 77 巻 8 号 p. 2039-2042
症例は85歳,女性.腹痛,便秘を主訴に受診.精査にて胆嚢十二指腸瘻を伴う胆石イレウスと診断した.イレウス管を挿入し保存的治療を試みるも,2個の結石のうち肛門側結石は回腸で嵌頓し自然排石が期待できなかったため,単孔式腹腔鏡下イレウス解除術の方針とした.イレウス管からの術中消化管造影を併用することで容易に結石を同定し,結石摘出を行い得た.胆嚢十二指腸瘻は年齢,全身状態を考慮し操作を加えなかった.胆石イレウスに対する腹腔鏡下手術は,その低侵襲性から有望な治療法であるが,その制限された触覚や術野展開から結石同定が困難となる可能性がある.術中消化管造影検査は結石同定を容易にし,腹腔鏡下手術のデメリットを補う有効な手段である.