日本臨床外科学会雑誌
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症例
約1年後に腫瘍が顕在化した肝内限局性胆管拡張を伴う肝内胆管癌の1例
金子 博和江畑 智希横山 幸浩伊神 剛山口 淳平梛野 正人
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2016 年 77 巻 8 号 p. 2048-2052

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抄録

症例は65歳,男性.肝S6の限局性肝内胆管拡張を認め当院紹介.ERCPではB6の限局性胆管狭窄と末梢の胆管拡張を認めたが,CTでは腫瘤像を認めなかった.ENBDをB6に留置し,6回胆汁細胞診を提出したがいずれも悪性所見を認めなかった.PET-CTでも異常集積を認めなかったため,炎症性胆管狭窄と考え経過観察となった.その後,徐々にCA19-9が上昇し,腹部CTで肝S5/6の腫瘤性病変が顕在化してきたため,初回受診時から11カ月後,肝後区域切除を施行した.病理組織学的所見は中分化管状腺癌であった.肝内胆管拡張のフォローアップの重要性を改めて認識した1例を経験したので報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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