日本臨床外科学会雑誌
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症例
高度十二指腸浸潤を伴う胆嚢癌肉腫の1例
長津 明久前田 好章篠原 敏樹二川 憲昭濱田 朋倫
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2016 年 77 巻 8 号 p. 2053-2057

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抄録

症例は69歳,女性.嘔気,全身倦怠感を主訴に前医を受診.CTで胆嚢底部に径7cmの肝・十二指腸に浸潤する腫瘤性病変を認めた.上部消化管検査で十二指腸に浸潤を認め,生検で腺癌の診断であった.下血が続くため当科紹介.切除不能因子が明らかでないため肝切除術および膵頭十二指腸切除を施行し,肉眼的に完全切除した.組織所見では円形核・紡錘形核が主体となる腫瘍で,ごく一部には腺管分化を示す部位もあり,免疫染色ではCAM5.2,AE1/AE3が陽性.34betaE12はfocalに陽性,p40は陰性であった.神経内分泌系・筋原性マーカーは陰性でS100のみ陽性部分があり,いわゆる胆嚢癌肉腫の診断であった.切除から3カ月目に腹壁に再発を認めたが放射線加療による腫瘍の縮小を得,術後5カ月現在生存中である.今回われわれは,稀ないわゆる胆嚢癌肉腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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