日本臨床外科学会雑誌
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症例
成人に発症した仙尾部成熟奇形腫の1例
良田 大典大石 賢玄坂口 達馬徳原 克治權 雅憲濱田 円
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2016 年 77 巻 8 号 p. 2111-2116

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抄録

症例は38歳の男性で右臀部皮下に腫瘤を自覚し近医受診し,臀部皮下嚢胞性疾患との診断で加療目的に当院に紹介となった.CTおよびMRIで尾骨前面から発生する右臀部の嚢胞性病変を認めた.血清腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.臀部皮様嚢腫,類表皮嚢腫,尾腸嚢胞もしくは奇形腫の術前診断で手術を施行した.手術はジャックナイフ位で臀部嚢胞摘出手術および尾骨合併切除術を施行した.摘出標本は,90×60×55mmの多房性嚢胞性腫瘍であった.病理組織学的検査では成熟奇形腫と嚢胞の一部に粘液を高度に産生する高円柱状の粘液腺上皮が乳頭状構造を認めた.
仙尾部奇形腫は,大多数が幼少期に発症し,成人男性発症はまれである.悪性化の可能性があるため,手術による根治が必要である.

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© 2016 日本臨床外科学会
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