抄録
症例は67歳の男性.4年前に膀胱癌に対して膀胱全摘,回腸新膀胱造設術を受け,無再発で経過していた.飲酒後から徐々に増強する腹痛と嘔気のため,当院に救急搬送された.腹部CTで肝表面から脾周囲にかけて中等量の腹水を認め,汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を行った.開腹すると,回腸新膀胱の頭側前壁に径2mmの穿孔部を認め,回腸新膀胱穿孔による汎発性腹膜炎と診断した.穿孔部辺縁を切除し縫合閉鎖した.
回腸新膀胱造設術後の穿孔は稀な病態で,原因として過伸展・周囲との癒着・間欠自己導尿操作・感染などが挙げられる.自験例は間欠自己導尿操作に加え,間欠自己導尿の管理不良による過伸展が原因と考えられた.新膀胱造設の既往のある腹膜炎症例においては,本疾患の可能性も念頭に置いて診断する必要がある.