目的:虫垂憩室炎の臨床像を急性虫垂炎と比較し明らかにすること.
方法:虫垂切除が施行され病理組織学的に急性虫垂炎(n=324)あるいは虫垂憩室炎(n=20)と診断された344例を対象とし,年齢,性,BMI,膿瘍・穿孔の合併,手術直前の血液検査データを両群で比較検討した.
結果:虫垂憩室炎群は急性虫垂炎群と比較して白血球数,好中球/リンパ球比,alanine amino-transferase (ALT)が低く,総蛋白が高かった(p<0.05).多変量解析では血清アルブミン低値,ALT高値,病理診断での虫垂憩室炎は膿瘍・穿孔の合併と有意に関連した.急性虫垂炎と比較して,虫垂憩室炎群では膿瘍・穿孔の合併率が有意に高かった(30% vs.12%,相対リスク2.5).結論:虫垂憩室炎は急性虫垂炎より血液検査での炎症所見が軽度であっても膿瘍・穿孔を伴いやすい.