2017 年 78 巻 11 号 p. 2429-2434
外傷に起因した遅発性横隔膜ヘルニアで真性ヘルニアとなった症例を経験し,腹腔鏡下に修復しえたため報告する.症例は46歳の男性で,35歳時に交通外傷にて前胸部を打撲した.それ以降,特に症状もなく生活していたが,11年後に心窩部痛を主訴に当院を受診し,精査したところ胃穹窿部が左胸腔内に入り込んでいる所見がみられた.遅発性外傷性横隔膜ヘルニアの診断となり,腹腔鏡手術が施行された.ヘルニア門は食道裂孔左側の横隔膜でヘルニア嚢がみられる真性ヘルニアであった.腹腔鏡下にヘルニア門の直接縫合による修復術が行われ,以後再発は認めていない.外傷に起因した遅発性横隔膜ヘルニアで真性ヘルニアとなることは稀で,腹腔鏡下修復術が可能であったため報告する.