日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃癌術後に生じた乳糜腹水を伴う絞扼性イレウスの2例
清水 康博杉田 光隆中嶌 雅之小野 秀高馬場 裕之
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2017 年 78 巻 11 号 p. 2454-2459

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抄録

乳糜腹水伴う絞扼性イレウスは比較的稀な病態であり,今回われわれはその2例を経験したため報告する.2例ともに胃癌術後であった.症例1は59歳,男性.徐々に増悪する腹痛を主訴に当院に救急搬送され,腹部造影CTで上腸間膜動脈周囲のwhirl sighと腹水貯留を認めた.絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した.腹腔内の癒着を起点に小腸が約30cmにわたり反時計回りに360度捻転していた.腹腔内にはピンク色の腹水を中等量認めた.症例2は58歳,男性.突然の腹痛を主訴に当院外来を受診した.腹部造影CTで小腸のclosed loopと腹水の貯留を認めた.絞扼性イレウスの診断で緊急手術を行った.Y脚吻合部の間膜に間隙があり,その間隙に小腸が約120cmにわたり陥入し絞扼されていた.腹腔内には乳白色の腹水を中等量認めた.2例ともに腸切除を要せず,術後経過は良好であった.

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