日本臨床外科学会雑誌
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症例
内側・後方アプローチ併用が有効であった膝窩動脈瘤(横径80mm)の1例
藤原 克次岡野 高久夜久 均
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2017 年 78 巻 2 号 p. 281-284

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抄録

症例は72歳,男性.膝関節屈曲時の膝窩部違和感を自覚した.下肢血管造影CTにて左浅大腿動脈末梢部から膝窩動脈に及ぶ巨大膝窩動脈瘤を認めた.手術は全身麻酔下に内側アプローチと後方アプローチを併用して瘤切除+人工血管置換術を施行した.まず,膝上部と膝下部内側アプローチで膝窩動脈瘤の中枢側の浅大腿動脈末梢部と末梢側の膝窩動脈をテーピングした.径8mmの人工血管を用いて末梢側端側吻合,中枢側端々吻合にて人工血管置換術を行った.次いで,後方アプローチにて動脈瘤を可及的に剥離し,瘤末梢側の膝窩動脈を結紮切離した.再度,仰臥位とし内側アプローチにて中枢側から膝窩動脈瘤を剥離し,流入分枝を切離して完全に瘤切除した.術後,下肢虚血症状なく経過良好である.長軸方向に伸展する巨大膝窩動脈瘤に対する内側および後方アプローチ併用は,十分な術野の確保と動脈瘤の完全露出が可能となる点において非常に有用である.

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© 2017 日本臨床外科学会
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