抄録
急性上腸間膜動脈(SMA)閉塞症は予後不良として知られ,中でもSMAガス血症を伴うものは極めて稀で救命の報告例は無い.今回,SMAガス血症から救命しえた症例を報告する.65歳の女性で,急激な心窩部痛で発症し造影CT検査と血管造影にてSMAの空腸動脈第1枝直後での閉塞を指摘し,血栓吸引および溶解療法を施行した.SMA本幹に分節的な閉塞が残るものの,第1~4空腸動脈から辺縁動脈を介して回結腸動脈などSMA末梢枝が造影されるまでの改善をみたが,CT上わずかながら門脈ガス血症を認め厳重観察とした.2時間後のCTにてSMAガス血症を検出し緊急手術とした.術中ガス血症範囲に一致した腸管壊死を認め,上行結腸20cmまでの腸管切除を要したが術後1年4カ月現在も存命中である.わずかな門脈ガス血症から急速にSMAガス血症にまで進展した経過を観察しえ,時機を逸さず手術を施行し救命しえたのでこれを報告する.