日本臨床外科学会雑誌
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症例
上行結腸狭窄をきたし切除したfiliform polyposisの1例
安里 昌哉照屋 剛仲地 厚喜友名 正也
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2017 年 78 巻 2 号 p. 334-339

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抄録

症例は48歳,男性.2015年の人間ドックで便潜血陽性を指摘され大腸内視鏡検査を施行した.盲腸から横行結腸中央部まで多発集簇したポリープを認めた.フォローの内視鏡検査を予定していたが,持続する右側腹部痛と発熱を主訴に2016年6月,救急外来受診した.内視鏡検査で多発のポリープは著明に増大し腫瘤様に腸管内腔を占拠しており,上行結腸ではファイバーの通過は困難であった.腹部造影CT検査で回盲部のバウヒン弁直上から肝湾曲部にかけて巨大な腫瘤形成像を呈していた.通過障害が見られ炎症症状を伴い悪性病変の存在も否定できなかったため緊急入院となった.入院後9日目に拡大右半結腸切除術を施行した.病理診断はfiliform polyposisであった.Crohn病や潰瘍性大腸炎などの慢性炎症の既往のないfiliform polyposisの1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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