抄録
症例は64歳,男性.2016年4月,腹痛を主訴に前医を受診した.CT検査で腹腔内に12cm大の低吸収性病変がみられ,膿瘍形成を伴った結腸穿孔と診断され当院に搬送となった.造影CT検査では,造影効果のない分葉状の境界明瞭な病変であり,何らかの腫瘍が疑われた.腹部超音波検査・腹部MRI検査では嚢胞性病変が疑われたが,確定診断には至らなかった.有症状であり,悪性腫瘍も否定できなかったことから手術を行った.開腹すると右上腹部に弾性軟の腫瘤を認めた.手術は結腸右半切除術を施行し,腫瘤を完全に摘出した.肉眼所見では12 cm大の嚢胞性病変であり,内部は黄色漿液性の液体で満たされていた.病理組織学的には嚢胞壁は炎症細胞を伴う線維性結合織より形成され,上皮細胞はみられず,仮性腸間膜嚢胞と診断した.成人発症の仮性腸間膜嚢胞はまれであり,文献的考察を加えて報告する.