日本臨床外科学会雑誌
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症例
IPMN由来と考えられた退形成膵管癌の2例
大野 吏輝金本 真美藤井 正彦大谷 広美原田 雅光河崎 秀樹
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2017 年 78 巻 2 号 p. 376-382

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抄録

退形成膵管癌は膵管癌の一亜型であり,通常型膵管癌と比較して予後不良とされている.今回,長期生存を得たIPMN由来と考えられた退形成膵管癌の2例を経験したので報告する.症例1:66歳,女性.閉塞性黄疸を発症し,膵頭部に35mm大の一部造影効果を伴う多房性嚢胞性腫瘤を指摘された.分枝型IPMCを疑い,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的所見でIPMN由来の破骨細胞型退形成膵管癌と診断した.術後6年6カ月無再発生存中である.症例2:70歳,女性.腹部膨満感が出現し,主膵管拡張を指摘された.主膵管型IPMCを疑い,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的所見でIPMN由来の紡錘細胞型退形成膵管癌と診断した.術後5年6カ月無再発生存中である.退形成膵管癌は組織型や発生起源により臨床経過に差異を認め,自験例のようにR0手術を行うことで長期生存を得られる症例も存在する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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