日本臨床外科学会雑誌
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症例
急激に拡大したCampylobacter fetusによる感染性腹部大動脈瘤の1例
池田 宜孝松野 祐太朗伊東 博史阪田 健介
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2017 年 78 巻 4 号 p. 665-668

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抄録

Campylobacter fetusによる感染性腹部大動脈瘤の報告は少なく稀な疾患である.今回,発熱の入院精査中,急速に拡大した症例を経験したので報告する.
症例は65歳,男性.発熱,腰痛を主訴に入院した.入院時CTで43mmの壁肥厚した腹部大動脈瘤が認められ,炎症性もしくは感染性動脈瘤が疑われた.抗生剤治療を開始3日後には症状は改善したが,CRPは依然高値のままであった.入院13日目になり,入院時血液培養からCampylobacter fetusが同定された.入院14日目の経過観察CTで腹部大動脈瘤径55mmと急速拡大が認められた.経過より,Campylobacter fetusによる感染性腹部大動脈瘤と診断し,破裂のリスクが高いため早急に手術を施行した.手術はリファンピシン浸漬人工血管を用いin situに置換した.術後5カ月現在まで再燃なく良好に経過している.

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