抄録
症例は65歳,男性.食道内にブリッジ型有鈎義歯を認め,異物誤飲(食道内異物)の診断となった.内視鏡的に摘出を試みたが困難であった.義歯を胃内へ落とし込み,緊急手術方針となった.手術は腹壁創および胃壁切開創を最小限にするため,経皮的内視鏡下胃内手術を行った.左上腹部に3cmの小開腹を置き,ウンドリトラクターSを挿入した.直下の胃壁を2cm切開し,ウンドリトラクターXSを挿入した.グローブ法で5mmカメラと把持鉗子を胃内に挿入,有鈎義歯を同定.鉗子で把持し,創部まで誘導,直視下に摘出した.
胃内の有鈎義歯に対し,経皮的内視鏡下胃内手術の技術を応用することにより,最小限の切開創で義歯を摘出することができた.従来,早期胃癌に対する縮小手術として行われてきた胃内手術のノウハウは,胃内異物摘出でも応用することができると考え,文献的考察を加えて報告する.