抄録
症例は77歳の男性で,胃体上部小彎進行胃癌に対して開腹胃全摘術を施行した.術後6日目に後上膵十二指腸動脈仮性動脈瘤破裂を発症した.血管造影を施行し上腸間膜動脈の分岐である前下膵十二指腸動脈・後下膵十二指腸動脈を塞栓したのち,腹腔動脈側からは胃十二指腸動脈を塞栓し止血を得た.その後,出血の再発を認めず術後45日目に退院した.腹腔動脈および上腸間膜動脈の両側から膵頭部の動脈血流を遮断したことになるが,明らかな膵壊死や耐糖能異常を認めなかった.脾動脈の分枝である後膵動脈等の交通枝から膵頭部の血流が確保されたことによると思われた.