抄録
症例は25歳の男性で,突然の腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部造影CTで上腸間膜動脈を軸に,怒張した上腸間膜静脈と腸間膜組織が反時計方向に540度渦巻き状に走行する所見(whirl sign)を認めたため,小腸軸捻と診断し,腹腔鏡下に緊急手術を施行した.術中所見で空腸起始部から上行結腸までが上腸間膜動脈を軸に捻転しており腹腔鏡下に整復した.Treitz靱帯は形成されず,Ladd靱帯を認めたため,腸回転異常症に伴う中腸軸捻と診断し,Ladd手術と予防的虫垂切除を追加した.術後経過は良好で,術後3年が経過した現在まで腸閉塞症状などの異常は認めていない.
腸回転異常症に伴う中腸軸捻に対する腹腔鏡下Ladd手術の適応はcontroversialであるが,血流障害や腸管拡張を認めず,腹腔鏡下に十分な視野が確保できる場合は,低侵襲で有用な術式であると考えられた.