抄録
症例は78歳,女性.自宅内で歩行不能となっているのを救急搬送された.S状結腸での腸閉塞のため緊急手術を施行し,狭窄型虚血性腸炎と診断して横行結腸に人工肛門を造設した.術後2病日から大量の水様便,術後10病日からは血便を認めるようになったため,内視鏡検査を施行した.上行結腸から回腸末端まで広範に浮腫,潰瘍を認め,湧出性出血を伴っていた.NOMIを第一に考え手術も考慮したが,家人の希望で保存的加療を継続した.術後20病日には止血状態となり,術後40病日の内視鏡検査では潰瘍は瘢痕化しており,以後順調に軽快,一般食も摂取可能となった.
左側結腸の狭窄型虚血性腸炎の治療経過中に右側結腸のNOMIを続発した当症例は,発生機序を考えるうえでも非常に興味深く,経時的変化を内視鏡観察できた非常に希少な症例であったため報告した.また,予後不良なNOMIの中には,保存的治療が奏効する可能性もあると考えられた.