日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡手術を施行した後腹膜原発傍神経節腫の1例
南原 幹男野田 英児黒田 顕慈木下 春人寺岡 均
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キーワード: paraganglioma, 腹腔鏡手術
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2017 年 78 巻 4 号 p. 847-852

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抄録

症例は46歳,女性.検診目的に,2014年7月に当院消化器内科外来受診.上部・下部消化管内視鏡検査にて明らかな異常所見は認めなかった.しかし,腹部超音波検査にて下大静脈左側に腫瘍性病変を認めたため,造影CTを施行した.その結果,下大静脈左側に位置する30×17mm大の腫瘍を認め,paragangliomaが疑われた.尿中カテコラミンは軽度高値であった.また,FDG-PET・MRIを施行したが,いずれもparagangliomaに矛盾しない所見であった.腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.術中大血管からの出血などは認めなかった.術後は血圧の異常などを認めず経過良好で,術後4日目に退院とした.術後1年7カ月現在,明らかな再発を認めず経過している.大血管近くの後腹膜原発paragangliomaに対する腹腔鏡手術の報告は少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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