抄録
エディアカラ紀/カンブリア紀境界(E/C境界)近辺の時代の大きな環境変動や生物進化は関連性を知るため、当時の古環境変動を調べることは重要である。本研究では南中国のE/C境界近辺の地層から採取された掘削試料を用い、32点について分析した。検出されたn-アルカンの分布は i) 短鎖側 (nC18)に分布の極大を持つ短鎖卓越型、また ii)短鎖側と長鎖側(nC27)に極大を持つバイモーダル型、まれに iii) 長鎖側に極大を持つ長鎖卓越型もあった。長鎖n-アルカンは一部の硫酸還元菌や真核藻類に由来した可能性がある。厳しい環境の時期に長鎖卓越型の分布がみられることから、ブルーミングが起こった可能性が示唆される。トモチアン以降の時代はプリスタン・フィタン量と短鎖n-アルカン量が相関を示し、長鎖とは示さない。従って、光合成生物の割合が一定であった生物相が維持されていたことが示唆される。