日本臨床外科学会雑誌
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症例
ステントグラフト内挿術で救命した膵癌術後腹部大動脈仮性瘤の1例
上野 健太郎黒澤 弘二百川 文健脇山 茂樹増渕 正隆渡部 通章
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キーワード: 腹部大動脈仮性瘤, EVAR, 膵癌
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2017 年 78 巻 5 号 p. 942-945

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抄録

膵頭部癌再発巣の腫瘍浸潤に起因する腹部大動脈仮性瘤を経験したので報告する.症例は47歳の女性.膵頭部癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行した.術後補助化学療法(TS-1)施行後,残膵再発を認め初回手術から1年後に残膵全摘,脾摘を施行した.その後,腹膜播種を認めGEM+NabPTXの投与を行っていたが,3クール後から全身倦怠感,発熱,腹痛が出現し救急部を受診した.腹部に圧痛を認め,血液検査にて白血球数増多とCRP上昇を認めた.造影CT検査で腹部大動脈および右総腸骨動脈に腫瘍浸潤による仮性瘤を認めた.以上より腹部大動脈仮性瘤切迫破裂と診断し,腹部ステントグラフト内挿術(endovascular aneurysm repair,以下EVAR)を施行した.動脈瘤破裂は回避でき,術後経過は良好で12日目に独歩で退院した.

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© 2017 日本臨床外科学会
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