抄録
症例は77歳,女性.上腹部痛を主訴に近医を受診.腹部CT検査にて肝円索の腫大を認め,精査加療目的に当院紹介入院となった.肝鎌状間膜膿瘍が疑われたが,急性腎不全および高度心機能障害を合併していたため,まずは抗生剤投与による保存的治療が開始された.しかし炎症は軽快せず,肝鎌状間膜の外科的切除を行い速やかに炎症は軽快した.肝鎌状間膜膿瘍は本邦では本症例も含め8例の報告がある,比較的稀な疾患である.抗生剤投与や経皮的ドレナージなども治療法の選択枝として挙げられるが,外科的切除が安全で確実な治療法であると考えられた.