2017 年 78 巻 7 号 p. 1495-1499
51歳,女性.35歳時に右乳癌で右乳房温存術と腋窩郭清を受けた.術後16年目に右乳房に1.5cmの腫瘤が出現し,針生検にて浸潤性小葉癌と診断した.左腋窩に腫大リンパ節を認め転移を疑うも,リンパ節細胞診Class IIIAであり確定診断し得ず.左乳房には異常を認めず.右乳房切除術+セカンドセンチネルリンパ節生検(色素法)を施行した.右傍乳輪に皮内注した色素が,前胸部皮下リンパ管を通じて左腋窩に流れた.左腋窩の青染したリンパ節を摘出し転移陽性だったため,左腋窩郭清を追加した.最終的に左腋窩リンパ節転移7個だったため,術後補助化学療法を追加した.
初回手術時に腋窩郭清を受けた例ではリンパ流が変化し,乳房内再発時にはセンチネルリンパ節が異所性に存在することが多いとされる.センチネルリンパ節生検の手技を用いて対側腋窩へのリンパ流の変化を確認し,新たな一次リンパ節転移としての治療法を選択しえた1例である.