日本臨床外科学会雑誌
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症例
初回治療後13年目に後腹膜転移で十二指腸狭窄を発症した乳癌の1例
柴田 耕治待木 雄一広松 孝高良 大介出津 明仁伴 聡
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2017 年 78 巻 7 号 p. 1490-1494

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抄録

症例は58歳,女性.45歳時に左乳癌に対して左単純乳房切除術を,53歳時に左腋窩再発に対して腋窩郭清術を受けている.1カ月ほど前からの嘔気・嘔吐症状のため受診され,CT検査で十二指腸狭窄を認めたため入院となった.十二指腸に腫瘍は認めなかったが,保存的治療では狭窄の改善を認めなかったため開腹手術を行った.開腹所見では後腹膜が広範囲にわたり白色調の硬結を呈しており,それらに巻き込まれる形で十二指腸,上行結腸に狭窄を認めていた.胃空腸バイパス術および回腸横行結腸バイパス術を施行した.同時に行った後腹膜生検の結果,乳腺浸潤性小葉癌の後腹膜転移と診断された.術後は経口摂取が可能となり,現在,内分泌療法を行っている.
一般的に乳癌の後腹膜転移はまれではあるが,浸潤性小葉癌においては晩期腹膜再発の可能性を念頭に置き,腹部所見にも十分な注意を払い術後の診療にあたる必要がある.

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