症例1は79歳,女性.3日間持続する腹痛で外来を受診した.腹部CT所見より単純性イレウスと診断し入院したが,入院翌日に腹水が増加したため,手術を施行した.腹水は漿液性で,小腸は時計回りに270°回転していた.症例2は69歳,男性.繰り返す腹痛が改善せず,救急外来を受診した.腹部CT所見より絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を施行した.腹水は乳糜性で,小腸は時計回りに540°回転していた.2症例とも腹腔内には明らかな原因を確認されず,原発性小腸軸捻と診断した.いずれも小腸壊死には至っておらず,捻転解除のみで手術を終了した.本邦では原発性小腸軸捻は比較的まれな疾患であり,検索した範囲では自験例を含め59例の報告があった.その約半数が腸管切除を必要としたが,捻転解除のみで治療しえた症例と臨床的特徴を比較検討し,考察した.