2017 年 78 巻 8 号 p. 1882-1886
症例は70歳の男性.右季肋部痛を主訴に受診した.CTにて肝右葉に径14cmの内部に出血を伴う嚢胞性腫瘍を認めた.当初は経過観察されていたが,腫瘍の増大と貧血の進行を認めたため,開腹手術を施行.肝右葉を占拠する巨大腫瘍であった.病理組織学的には,紡錘形細胞・多核巨細胞を認め,肝未分化肉腫と診断された.術後経過は良好であり,第15病日に退院したが,第263病日に再発により永眠した.今回,われわれは成人発症が極めて稀な肝未分化肉腫を経験したので報告する.