日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
結腸穿孔を生じたsegmental absence of intestinal musculatureの1例
米村 圭介近藤 伸彦松崎 純一伊藤 希堀 達彦鳥越 俊彦
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 78 巻 9 号 p. 2099-2103

詳細
抄録

Segmental absence of intestinal musculature(SAIM)は,腸管の部分的な固有筋層欠損であり,成人では非常に稀である.症例は54歳,男性.胃バリウム検査を受けた3日後の排便後より腹痛が出現し,症状が改善しないため翌日当院を受診.来院時,38℃の発熱を認め,腹部理学所見上,左側腹部を最強とする腹部全体に圧痛および反跳痛を認めた.血液検査上炎症反応高値で,腹部造影CT検査で下行結腸近傍にfree airと脂肪織濃度の上昇を認めた.穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術を行った.下行結腸に穿孔部を認め,穿孔部を含む結腸を切除し人工肛門を造設した.摘出標本で穿孔部から肛門側に向けて縦走する潰瘍を認め,病理組織学的所見では潰瘍部に一致して憩室を伴わない固有筋層の欠損を認めた.固有筋層が部分的に欠損した脆弱な部分にバリウムによる硬便が誘因となり,穿孔が生じたと考えられた.

著者関連情報
© 2017 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top