抄録
症例は81歳,女性.66歳時にS状結腸穿孔に対してHartmann手術,67歳時に人工肛門閉鎖術,72歳時に腹壁瘢痕ヘルニアに対しメッシュを用いた修復術を施行された.腹痛を主訴に近医を受診し抗菌薬治療が行われたが,症状が増悪したため,当院を受診した.下腹部正中に発赤を伴う手拳大の腫脹および腹部CTで波状に変形したメッシュと皮下膿瘍を認めたため,メッシュ感染と診断した.切開排膿と抗菌薬治療を行い,受診1カ月後に手術を施行した.メッシュは腹腔内に留置され,辺縁は腹腔側に折れ曲がり,小腸と癒着,穿通が認められた.小腸部分切除とメッシュ除去を施行し,腹壁は筋膜単純縫合閉鎖で修復した.腹壁瘢痕ヘルニアに対するメッシュを用いた修復術は標準治療となりつつあるが,使用例の増加とともに腸管癒着や遅発性感染の報告が増えている.術中はメッシュの確実な固定が,術後は遅発性感染も念頭に置いた経過観察が必要であると思われた.