抄録
症例は65歳の男性.体重減少,嘔吐症状を契機に食道胃接合部癌と診断され,開腹胃全摘術,経裂孔的下部食道切除術,結腸前経路Roux-en-Y法再建を施行,術後の栄養療法目的に腸瘻造設術を併施し,12Frの腸瘻チューブを留置した.術後18日目,持続する発熱の精査目的にCT検査を施行したところ,腸瘻チューブに沿って小腸のtarget signを認め,腸重積症と考えられた.上部消化管内視鏡で整復を試みたが困難であり,緊急手術を施行した.Y脚吻合部より約10cm肛門側の空腸から約10cmに渡り順行性の重積を確認した.Hutchinson手技にて整復を試みたが,腸管壁が全層に裂けたため,損傷部を含めて小腸を10cm部分切除した.再手術後問題なく経過し,再手術後13日目に退院となった.今回,われわれは腸瘻チューブが原因となった比較的稀な成人腸重積症の1例を経験したので報告する.