日本臨床外科学会雑誌
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症例
化学放射線療法が著効をみたAFP産生直腸癌局所再発の1例
伊藤 泰輔石井 芳正松本 拓朗阿部 貞彦河野 浩二
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2018 年 79 巻 3 号 p. 537-541

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抄録
症例は64歳,女性.血便を主訴に他院を受診し,下部消化管内視鏡検査にて直腸癌を指摘された.精査加療目的に当院紹介となり,術前検査で遠隔転移は認めないものの子宮浸潤が疑われた.低位前方切除術および子宮合併切除を行った.この際の病理検体にて,AFP染色陽性でありAFP産生直腸癌と診断された.AFP値は術前から現在まで正常値であった.術後補助化学療法施行中に腫瘍マーカー(CEA)が漸増し局所再発が認められた.化学放射線療法を行い,局所再発は消失し,現在(術後3年8カ月)まで寛解状態を維持している.AFP産生大腸癌は肝転移をきたしやすく非常に予後が悪い疾患である.今回われわれは,局所進行AFP産生直腸癌の術後局所再発に対し化学放射線療法を行い良好な結果が得られた1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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© 2018 日本臨床外科学会
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