日本臨床外科学会雑誌
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症例
治療的リンパ管造影が著効をみた直腸癌術後難治性リンパ漏の1例
林 航輝宮田 量平大平 正典冨田 眞人佐藤 道夫安藤 暢敏
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2018 年 79 巻 3 号 p. 532-536

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抄録
症例は80歳,女性.肛門縁から15cmの全周性2型腫瘍に対し高位前方切除術を施行した.術後第1病日より仙骨前面ドレーンから多量の乳縻様排液を認めリンパ漏と診断,禁食・利尿剤投与などで改善傾向となり第23病日に退院となった.
術後1カ月頃よりリンパ漏が増悪し,オクトレオチドや利尿剤を投与するも改善に乏しく適宜腹水穿刺を施行した.術後112病日に診断的治療として両側鼠径リンパ節穿刺からリピオドールによるリンパ管造影を施行,腹部大動脈分岐部直上左側の外側大動脈リンパ節周囲から造影剤漏出を認め瘻孔部位と考えられた.術後151日目のCTで著明な腹水減少が得られ,現在,術後3年で無再発生存中である.
保存的治療に反応しない消化管術後難治性リンパ漏に対しては外科的治療が推奨されているが,奏効率は高くない.リピオドールによる治療的リンパ管造影は,消化管術後難治性リンパ漏に対して有用な治療手段となり得る.
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© 2018 日本臨床外科学会
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