日本臨床外科学会雑誌
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症例
血管形成術を行った2本の流出動脈を有する腎動脈瘤の2例
田邉 佐和香腰地 孝昭森岡 浩一佐々木 正人山田 就久
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キーワード: 腎動脈瘤, 腎保護液
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2018 年 79 巻 4 号 p. 718-722

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抄録

背景:腎動脈瘤は,最近の画像診断技術の向上に伴い,報告例が徐々に増加した疾患であり,CTやエコーで偶然発見されることが多い.治療には,血管内治療(EVT)と外科的治療があるが,今回,外科的治療を行い良好な結果を得た2例を経験した.症例1:70歳,女性.腹部造影CTにて腎動脈末梢に最大短径24mmの嚢状腎動脈瘤を認めた.流入血管は1本だが,流出血管が2本あり外科的適応と判断した.腎保護液を使用して瘤切除と流出動脈2本の再建を行った.症例2:76歳,女性.CTにて腎動脈末梢に最大短径17mmの嚢状腎動脈瘤を認め,1本の流入動脈と2本の流出動脈を認めた.症例1と同様,瘤切除し流出動脈2本を再建.2例とも経過良好で術後の腎機能低下は認めなかった.結論:2本の流出動脈を有する腎門部腎動脈瘤2例に対して血管形成術を施行した.腎保護液を使用し,流出動脈をすべて再建し術後の腎機能の増悪を回避できた.

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© 2018 日本臨床外科学会
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