抄録
症例は65歳,男性.糖尿病にて近医通院中であり,α-グルコシダーゼ阻害薬(以下,α-GI)を内服していた.3日前からの腹部膨満感があったが,強い腹痛を発症したために当院を受診した.腹部造影CT検査では,上行結腸から横行結腸の腸管壁内に大量の気腫像を認めた.右上腹部の圧痛,炎症反応高値,敗血症を認め,腸管壊死の可能性を疑い同日に緊急試験開腹術を行った.上行結腸から横行結腸の腸管漿膜下に大量の気腫像を認めたが,血色は良好であり,腹腔内洗浄とドレナージのみで終了した.腸管気腫症に伴うbacterial translocationから敗血症を発症したものと考えられ,抗菌薬投与にて軽快し,19日目に退院となった.α-GIには腸管ガスを増加させる副作用があり,同薬内服患者の腸管気腫症が報告されており,迅速な診断と病態に応じた適切な治療法の選択が必要である.